考える葦になりたい大学生

学びの記録に。考えたことの記録に。大学生なのでお手柔らかに。

熱中症を記事から読む(1)

酷暑。そんな言葉がぴったり当てはまる、2018年の夏。何が起こっているのか。熱中症関連のニュース記事を引用しながら振り返るブログ。1回目。

 

総合

7月の搬送・死者数が過去最多

熱中症による全国の救急搬送者数が7月だけで5万2819人、死者が124人に上ったことが7日、総務省消防庁の集計(速報値)で分かった。いずれも1カ月当たりとしては過去最多で、災害級の猛暑だったことが浮き彫りとなった。
消防庁が集計を始めた2008年以降、確定値で月別の搬送者数が最も多かったのは10年8月の2万8448人で、死者は同7月の95人。今年7月は中旬以降に全国的に厳しい暑さが続き、これを大幅に上回った。
搬送者の症状別では、3週間以上の入院が必要な重症が1338人、短期入院が必要な中等症が1万7233人だった。65歳以上が全体の約48%を占めた。
発生場所別に見ると、庭などを含む「住居」が2万2510人と最多で、幼稚園や学校といった教育機関3795人だった。

出典:熱中症、猛暑浮き彫り 7月の搬送・死者数が過去最多 - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

参考:救急救助 熱中症情報 :: 総務省消防庁

 

4月からの集計値では搬送者数が7万人を超えていることも分かっている。

熱中症、救急搬送は過去最多の7万1,266人…死者138人 | リセマム

 

対して、医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp)が実施した、熱中症患者が増えているかという医師に対するアンケートでは、増えているという意見が6割を占めるものの「注意をしている方が多い」ことや「元気だけれども不安を感じて来診される方がいる」ということが読み取れる。更に「エアコンを使用しない高齢者」と「部活動の学生」が多いということも読み取れる。

【医師アンケート調査】「熱中症患者は増えていると感じるか?」について、 医師の6割は「増えている」と回答|メドピア株式会社のプレスリリース

 

高校野球

酷暑の中で大きく問題視されたものの一つが高校野球である。果たしてこのままでいいのだろうか。気になる記事をいくつか参照していきたい。

 

力尽きたエース。熱中症で救急搬送(西東京大会決勝)

試合後の表彰式には出席したが、ベンチに戻ると脱水症状をともなう熱中症で歩行も困難になり、神宮球場から救急車で東京都内の病院に搬送された。同校の責任教師によると、点滴による加療で回復に向かっているという。

出典:力尽きたエース…日大鶴ケ丘・勝又、熱中症で救急搬送/西東京 - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

歩行困難になるまで投げ続けたこと。果たして称賛されることなのか。「死ななかったから」許される問題ではない。子どもを命の危険にさらした大人の責任は重い。まさかエースの子の対策不足だなんて言えない。

暑い中で頑張るのが野球の醍醐味だという意見が見受けられたが、そんな大人と球児たちに言わせてほしい。”安全に”という言葉が抜けている。もはやこのままのやり方では、高校野球は安全な競技とは言えないだろう。

 

「やれることはすべて」

大会中に来場した学校応援団に対しては、一塁側、三塁側アルプスに水(ミスト)を散水する機械を3台ずつ準備。応援団責任者の管理のもと、3回、5回、7回は必須として、試合中に定期的にまくことを決めた。

観客に対しては、以下の5項目を軸に対応。
<1>来場した観衆に熱中症注意」アナウンスの実施
<2>大型扇風機を各入場門、通路等に11台設置
<3>アルプス席の各入場門にミスト扇風機を計5台設置
<4>外周売店を4カ所から6カ所に増設。飲料、ミストスプレー、首冷却グッズ、塩分補給タブレットなどを販売
<5>外周売店付近にミスト扇風機4台設置

甲子園のリニューアル後、場内の各エリア通路にはファンコイル(冷風機)を約50台設置している。

日本高野連・竹中雅彦事務局長は「やれることはすべてやっていきたい」と、対策に万全を期す考えだ。

出典:高野連が熱中症対策を発表「やれることはすべて」 - 夏の甲子園 : 日刊スポーツ

やれることはすべてと言っておきながら多くの人が指摘していた開会式の短縮は行われなかったと聞く。今年に比べて涼しかった昨年の開会式でも倒れた子どもがいて、更に今年のリハーサルでも倒れた生徒がいたにも関わらずだ。開会式で熱中症者が出たという話は聞いていないが、こんなの奇跡としか言いようがない。残念ながら「やれることはすべて」やっているとは到底思えないのが現状だ。

 

アルプスの熱中症対策

一日でもっとも気温が高くなる午後2時すぎ。一塁側アルプススタンドで測ると、手元の温度計は37・6度を示していた。

熱風と強烈な日差し。汗が顔や背中を流れ、シャツはすぐにびしょ濡れになり、立っているだけで頭がボーッとしてくる。コンクリートの上に凍らせたペットボトルを置くと、30分もしないうちに溶けてしまった。

腰を掛けたベンチも鉄板のように熱い。アルプススタンドは試合ごとに人が入れ替わるため、太陽にさらされる時間が長いからだろう。ベンチに温度計を置くと、何と41・1度。国内最高気温に並ぶ高温だった。

この暑さを乗り切ろうと、各校応援団はさまざまな対策を講じていた。2試合目に登場した済美(愛媛)。2年連続6回目の出場となる常連校は、応援団全員に塩分補給用のタブレットを配布。3イニングに1回のペースで、応援団が指示を出すために使うボードに「塩分チャージタイム」や「水分補給タイム」と書き込んでスタンドを走り、塩分や水分の定期的な摂取を促した。

さらに、大量の氷で満たしたバケツを準備。凍ったペットボトルをここに入れ、ぬるくなるのを防いだ。甲子園の暑さを知る常連校らしく、万全の対策で選手とともに1回戦を“突破”した。

3試合目に登場した慶応の応援指導部は、学ランを着用するのが伝統。しかし、この日は試合前のエール交換を終えると半袖ポロシャツ姿に変身。格式より健康を優先した新しい応援の形を披露した。野球部員らは凍らせたペットボトルを1人3本持参して暑さを乗り切った。

日本高等学校野球連盟が今大会からアルプススタンドに導入したミストマシンも好評だった。2〜3イニングに1回のペースで学校関係者が散水。生徒らは「息苦しさが和らいだ」「風で涼しいより水で冷たい方がうれしい」と喜んで涼を取った。

ただ、まく方は約10リットルの水が入った機械を背負って歩かなければいけない。担当するのはほとんどが教員。40代の男性教員は「私たちが先に倒れるかも」と悲鳴を上げた。

幾分過ごしやすかったのは、内野スタンドを覆う「銀傘」の日陰で35・0度。一方、バックネット裏は39・5度。球場関係者は「入場ゲートから遠く、近くに出入り口がないため風の通り道が少ないからでは」と話した。

球場内の通路には扇風機を設置。攻守交代のタイミングでは多くの人が通路に逃げ込んで風に当たった。

例年より売店の数を1・5倍に増やし、飲料を確保しやすくするなど球場サイドと連携した熱中症対策も取った。

それでも大会本部はこの日、熱中症、日射病の疑いが32人いたと発表した。

《「かちわり」の底力、コンクリ上で55分》甲子園名物といえば「かちわり氷」200円、税込み。アルプススタンドのコンクリートに置いたところ55分で溶け切った。30分で溶けてしまったペットボトルに比べると“長持ち”した印象。スタンド取材で36.8度まで上がった記者の体温も、かちわりを首などの静脈に30分ほど当てると0.5度ほど低下。甲子園名物の底力を体感した。

出典:【イマドキの気になる現場】甲子園 アルプスの熱中症対策 スタンドの応援ボードが“好救援”― スポニチ Sponichi Annex 社会

様々な工夫をしても熱中症の疑いのある人は32人。もちろん工夫をして乗り切ろうという姿勢は大切なことである。そのおかげで32人にとどまったとも考えられるかもしれない。しかし。やはり”工夫”だけではゼロにすることはできないという状況になっていることの表れではないだろうか。球児が死ななくても観客が死んだら大問題になることは目に見えている。やはり”制度の見直し”が求められているだろう。

 

医師の意見

医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp)が実施したアンケートの結果としては「特別な対策等の条件付きで開催する」という回答が6割で最大だった。回答コメントを見ていくと、このままでは良くないが開催をやめるのは厳しいだろうという意見が中核にあり「開催時間の変更」や「中断(中止)条件の設定」などといった対策が挙げられている。観客に対する心配の声も強くある。これは、更なる対策を求める声が強いと考えてよいだろう。

「全国高校野球は例年どおり開催すべきか?」について、医師の6割は「熱中症対策等の条件付きで開催すべき」と回答 | プレスルーム

 

帝京大熱中症対策に学ぶ

ラグビーという熱中症の危険が非常に高い競技でどのように対策をしているのか具体的に書かれた記事である。重要な部分を抜粋して引用する。

その1 アプリ活用「体調チェック」

帝京大学ラグビー部の部員たちは「コンディションチェック」というタイトルのアンケートに毎朝応じる。グーグルアプリを活用して作成されたアンケートは、睡眠時間排便食欲など8つの質問に加えて、痛みのある体の部位も知らせる。
特筆すべきは、前日の練習をどう感じたかという「昨日の練習強度(主観的)」や、自分の体調をどう感じているかの「主観的疲労度」の情報まで吸い上げる点。ほかの選手が「普通のメニュー」と感じているのに「きつかった」と答えれば、そこに何らかの不調が隠れていると考えられるからだ。
個々の情報は選手のスマートフォンから瞬時のうちにスポーツ栄養士2人とトレーナーに送られる。そして、それをエクセルで整理したデータは、監督、コーチらに配信される。練習や試合前までに「本日の練習(試合)で目配りすべき選手」のリストがスタッフ全員で共有される。


体調チェックは、オフ以外はすべての日に実施される。これはスタッフだけでなく、選手自身が自分の体調を見つめ直すセルフチェックをすることにもつながる。
「いつもと違うこと(因子)が3つあると、何かが起きるよ」
今であれば、すでに酷暑という「いつもと違うこと」が1つ。そうなると、あと2つでも異常があると熱中症の可能性が高まることになる。そのような因子は、寝不足や食欲不振、消化器官の不調や心的ストレスなど多岐に及ぶ。


その日の気温など外的因子のチェックと同じくらい、スポーツをする前に選手個々の状態を把握することが重要だ。
選手管理という側面からいえば、すでに入部したときから熱中症対策は始まっている。1年生が入学してすぐに行う春のメディカルチェックでは、過去に熱中症にかかった経験があるか、どの程度だったか、当時原因とみられるものは何かといったものまで洗い出す。一度かかると、繰り返す傾向があるからだ。1つの学年で、平均して1~2人は罹患者がいるという。


その2 水分補給3原則「3種の水を・冷やして・渇く前に」

何を、どんなふうに、いつとるか。水分補給も準備が大切だ。まず、練習や試合時に用意する「水」は3種類。
① スポーツ飲料を水で割ったもの(糖度6%のものをおよそ3%まで薄める)
経口補水液を水で割ったもの(氷を入れる程度)
③ 真水
スポーツ飲料を水で割るのは、運動中の水分補給で甘い味が苦手な部員がいることと、ペットボトル症候群予防も兼ねる。運動しているとはいえ、糖分を摂取しすぎると糖尿病になることもあるのだ。スポーツ飲料に苦手意識のない子どもの場合、運動時だけであればそのまま与えてもいいだろう。
これら3種類はすべて冷やしたもの。内臓への負担などを考慮して水分補給は常温でという説もあるが、帝京は「飲みやすさ」を重視する。大木さんによると「選手が飲みやすい状態を考えると、やはり氷などで冷やしたものがいい」という。まずは飲んでもらわないといけないからだ。
「選手にはなるべくスポーツ飲料を割ったものか、経口補水液を飲むように勧めている」
「水だけでは間に合わないこと、そして、現場で倒れずとも熱中症は後でやってくることを学んだ」と振り返る。


飲むタイミングも重要だ。真水の場合、胃を通過するまでに30分かかる。スポーツ飲料は水より吸収されるまでのスピードは速いが、それでも飲んですぐというわけにはいかない。
よって、「運動開始前」にある程度、補給しておくよう選手に伝える。熱中症予防のため、練習前に経口補水液のゼリーなどを摂取する選手もいるそうだ。スタッフ間で相談し、練習メニューの合間、30分に一度のウォーターブレークを入れることもある。

 


その3   「ボク、ヤバいです」と言える人的環境をつくる

目に見えないけれど、最も有効な準備。それは、チーム全体の熱中症リスクに対する意識の向上だ。
クラブハウスのトイレには、尿の色のチェック表が貼られている。レモン色はOKだが、オレンジに近くなると腎機能が弱っている兆候で、熱中症になりやすい。


選手同士でも注意を払ってもらう。汗の量が尋常でない、顔色が変わる、ぼーっとしている。「そんなときは教えてくれ」と言ってある。自己申告よりも他者申告で早期に手当てされることのほうが多いという。
「僕らトレーナーは講習会などで、選手の熱中症はチームの責任だと考えるように、と言われます。そのくらいの覚悟で注意深く見なくてはなりません。でも、僕らだけが注意してもダメ。スタッフと、100人を超える選手のチーム全員が(熱中症の)リスクに対して高い意識を持たなくてはなりません」


最後の年を迎える4年生は、最上級生のプライドがある。体調を崩していても「外れられない」と頑張ってしまう傾向があるという。
彼らには熱中症になってしまったらどうなるか」と具体的に説明する。救急搬送など、重症なケースは、リカバリーに1週間以上かかる。具合が悪くなってすぐに休めばその日休養するだけで済むかもしれない。我慢したほうがダメージが大きい。そういったことだ。
「痛いのを我慢するのは誰にでもできる。でも、そのあとのリスクを見越して、予防のために準備できるアスリートになろう」「チームで権威を持つ人、つまり監督のような立場の人が熱中症予防に対して敏感であることがチーム全体に伝わる。


つまりはチーム内に「ボク、ヤバいです」と遠慮なく言える人的環境をつくること。そのためには、スタッフと選手間のフラットな関係を築くことも重要だ。目には見えないが、大事な準備に違いない。

出典:熱中症予防でも帝京ラグビー部が最強なワケ 日々の「健康チェック」の仕組みが参考になる

結論

一般論ではあるがまとめておきたい。

①運営(高野連)サイドは、個々の工夫や対策だけでは限界があることを認識し、開催時間変更、開催場所変更、中断(中止)条件の設定など制度的な改革に取り組むべきである。

熱中症は防げるということを念頭に、制度改革を待たずに、個々ができる最大限の対策をする。特に”正しい知識”をもとにした対策を心がける。

繰り返しになるが。死者を出す前に変革が起こることを強く願う。

 

今後もこういうブログ続けるかも。

(雑文)教育”再生”に思うこと。インクルーシブに思うこと。

台風が近づく中。私は本日も講義を受けるため大学へ行っていた。

本日受講した講義名は「教育基礎学1」。内容は大まかに言えば、教育基本法、学習指導要領、教育振興基本計画といったものを参考に戦後の教育の変遷を捉え、これからの時代にどのような教育が求められるのかということを考察するものである。

その授業を経て感じたことを2つほど書き残しておきたい。

なぜ、教育”再生”なのか

今日ずっと疑問に思っていたことがある。以下の文章を見てほしい。

このように、教育の再生は最優先の政策課題の一つであって、欧米主要国を上回る質の高い教育の実現を図ることが求められている。

出典:第2期教育振興基本計画(本文)34頁より

「再生」という言葉に違和感を覚えた。細かいところだが非常に気になる。意味上の違いを確認してみた。まずは「振興」

しんこう【振興】

学術・産業などを盛んにすること。また、学術・産業などが、盛んになること。

出典:デジタル大辞泉小学館

対して「再生」は

さいせい【再生】

1 衰え、または死にかかっていたものが生き返ること。蘇生。
2 心を改めて正しい生活に入ること。
(以下略)

出典:デジタル大辞泉小学館

また、しばしばこのような場面で用いられる「改革」は

かいかく【改革】

従来の制度などを改めてよりよいものにすること。

出典:デジタル大辞泉小学館) 

 

やはり「再生」という言葉は文脈に合わないような気がするのは私だけだろうか。「再生」と言われると、失われてしまった(同じ)ものを取り戻すというようなニュアンスを感じる。現在の欧米主要国を上回る素晴らしい教育を過去の日本ができていたとでも言いたいのだろうか。どうしてこの文章を「教育の改革」や「教育の振興」とせず「教育の再生」としたのか。(考えすぎかもしれないが)予想してみた。

 

(1)「日本を、取り戻す。」にみられる復古思想のあらわれ

このフレーズは、2012年頃の自民党のキャッチコピーの一つである。これだけ見れば「あの頃のような日本に戻ってほしい」なんて願いのこもったコピーなのかと考えられるが、別に誰もタイムスリップしたかのように戻ることを望んではいないだろう。換言すれば「あの頃は良かったな。日本があの頃と同じくらいいい国になってほしい」ということを望んでいる人がほとんどであると思う。しかし、この言葉をそのままの意味でとれば「復古」的な考え方があることは否めない。そう「あの時の日本は良かった。あの時に戻ろう。」というメッセージが見えてくる。安倍首相は確かに復古主義を持っている。(復古主義だけではないのがよくわからないところだが……)その視点に立てば、教育の「再生」という言葉にも復古の意味合いがあるのではないだろうか。果たしていつの時代に戻りたいのだろうか……まさか戦前ではないことを願うが……

 

(2)教育の現状に対する"思い込み"

2つ目は(有識者に向かって素人が何を言ってるんだと言われそうだが)あえて「思い込み」という言葉を選んだ。「振興」や「改革」という言葉は「現状の改善・発展」というニュアンスを感じる一方で「再生」という言葉からは現在の教育が「昔に比べて悪くなってしまった」というニュアンスを感じる。私自身は教育は時代の流れとともに試行錯誤を重ねながらより良い方向に進み続けているとは考えている。(たとえば多くの教育問題がクローズアップされるようになり対策が練られてきたことは一例として挙げられる。)では「改善されなかった」ならまだしも「過去に比べて悪くなった」という根拠はあるのだろうか。「不登校件数が増えた」「暴力件数が増えた」などは考えられるがそれに合わせた対策は取っているし、なんなら"本当の意味で"増えたのかについては統計からは分からない。以下は憶測に過ぎないのだが、私は安倍首相らが自己の”経験”に基づく”思い込み”で現状を悲観して「再生」という言葉を使っているのではないかと疑っている。いつの時代も教育にいい点と悪い点があるのは当然で、悪い点の改善は確かに必要である。しかし、この「再生」という言葉からはそれ以上のニュアンスを感じてしまうのだ。

そもそも「21世紀の知識基盤社会を主体的に生きる力」を強調しているのになぜ(過去の教育を)「再生」するという言葉が出るのだろうか。

(こんなこと本当は言いたくないのだが)安倍首相をはじめ「教育再生実行会議」の有識者の皆様の教育の現状認識が"思い込み"で成り立っていないと信じたい。

 

インクルーシブ教育に対して思うこと

もう一つの話は今後の教育のあり方として例に挙げられた「インクルーシブ教育」についてである。私もその理念には共感しているし、それを目指すことが悪いとは言っていない。しかし気になるのだ。現場の声はどうなっているのかと。

 

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参考資料 11 特別支援教育の対象の概念図:文部科学省 より

現在の日本の特別支援教育上で通常学級にて最も多く在籍していると考えられるのは、ADHD・LD・ASDといった発達障害を持った生徒である。6.3%という数値は「教員によって判断された数値」である。医者に診断されたかではなく、通常学級に平均して6.3%程度は発達障害の疑いがあるなど「特別な指導が必要な」生徒がいるということではないだろうか。

私も何度か発達障害をもった子どもと接する機会があったが、そのような子に対して通常学級で満足のいく指導ができるのかはわからない。教育実習に行った大学生の先輩から「中の下くらいの生徒のレベルに合わせて授業をするように言われた」という話を聞いたが、実際に自分が受けてきた教育を思い返しても、一番レベルの低い子に合わせてはいなかっただろう。発達障害だから授業についていけない、逆に授業についていけないから発達障害とまでは言わないが、これら2つにある程度の関連があることは否めないだろう。また、発達障害の子の対応のために全体に迷惑が掛かってしまっては「障害者は迷惑」という印象を形成することにもなりかねない。インクルーシブ教育の推進は大いに結構だが、現在の教育現場の実態がどうなっているのか把握しなければならないと感じる。どうやったらまわりの生徒に悪い印象を与えずにインクルージョンが実現できるのか実践例などを紐解きながら調べてみたいと感じる。

本日のつぶやき「対策を考える」

TVも新聞も、ようやく酷暑と五輪の危険を報じ始めたけれど「中止とか、返上とか、秋に変更を」とは、絶対に言わない「思考停止状態」だ。「もう決まってしまったんだから仕方ない」、先の日本を破滅に導いた戦争にも「始まってしまったんだから仕方ない」と、今と全く同じに批判しなかったんだろうな。

Twitterより

昨夜投稿されたツイートでそこそこ拡散されているものです。

(戦争のたとえを持ち出すのはかなり疑問なのですがそこは無視します)

今年のような猛暑の中でオリンピックをやることが危険だというのは分かっています。その上で(揚げ足とりかもしれませんが)このツイートにつっこんでみます。

 

このツイートから感じた点はこちら。

「やめる」という選択肢を出さないから「思考停止」なのか

酷暑の中で五輪をやる上での熱中症対策はいくつもの案が考えられます。正しい対策を講じればリスクを低めることが可能でしょう。大切なのはいくつもある選択肢の中で「現実的」かつ「効果的」な対策を講じることではないでしょうか。

あくまで一意見ですが、2020年の気候など今は分からないわけで、(冷夏になることも考えられるので)現時点で五輪中止が決定できるとは私には思えません。もちろん現時点でも「選択肢の一つ」として時期の延期や五輪返上は考えられますが…その選択肢の実現可能性はどの程度のものなのでしょうか。たとえば、東京を中心にしつつ、危険な競技の実施は東京より冷涼な気候の地域を利用するという案でも解決できそうですが、どちらの方が実現可能性が高いのでしょうか…

そういえば、高校野球熱中症対策としても「ドーム球場」案や「ナイター」案が出ていましたが、実施できる県とできない県がありました。実現可能性がある県にとっては「効果的」な対策でしたが、実現可能性がない県にとっては「効果がない」対策であり、(たとえ効果が劣っていても)他の対策を講じる必要があります。

そういえば、クロ現プラスで学校現場での教員に対する暴力(校内暴力)についての番組をやるそうです。この問題もしばしば「警察を入れればすべて解決する」という論を主張される方が(専門家?でも)います。この問題の場合には効果の部分も検証が必要ですが、やはり実現可能性も考慮した時にこれが特効薬になるとはあまり思えません。ある意味で極端な論を絶対視して議論することは逆に「思考停止」になりかねないでしょう。

 

さいごに

何かについて対策を講じる時には

・効果

・実現可能性

という二つの観点から

多くの選択肢を比較する

ことが必要だと思います。

 

こんなことばかりしてると、Twitterは議論の場ではないと言われそう…笑

 

*とあるツイートを見て感じた点を書いています。内容について思ったことを述べたいので、ツイート主は伏せています。

(雑文)国会閉幕を迎えて思うこと

国会が閉幕します。

www.tokyo-np.co.jp

水道法改正案などいくつかの法案は見送られたようですが、今回の国会では本当に多くの法案がいわば”強行採決”とも呼べる形で成立してしまったと感じます。

立憲民主党の枝野代表が内閣不信任の理由説明を約3時間にわたって行われたそうです。一部しか拝聴してはいませんが、何となく私の感じていたモヤモヤする部分もお話してくださっていました。ゆくゆくは今年の国会のことを改めて振り返りたいと感じますが、ひとまず今日は私が最近感じていることをつらつらと書いていきたいと思います。

 

与党支持者は野党に何を望むのか。野党支持者は与党に何を望むのか。

世の中にはいろいろな考えの方がいると思います。私は現在の自民党(特に安倍首相や現在の内閣)不支持者ですが、与党支持者の方を非難するつもりはありません。

しかし最近のSNSでは与党支持者の「独裁政治」を主張する発言が多くみられます。いわゆる「野党は黙ってろ」「与党の邪魔をするな」です。確かに、野党は与党に対立しますから、与党支持者からすれば野党は邪魔に映るのかもしれませんが、「自分は日本が独裁政治を行う国会になることを望むのか」という点にもしっかりと立ち、このような発言をして頂きたいと感じます。独裁政治を望むのであればそうはっきり主張してほしいですね。独裁政治にもデメリットだけでなくメリットはあります。決してその主張自体は悪いとは思いません。対して、与党支持者でも「独裁政治は困る」と考えられている方もいらっしゃると思います。その時には「野党はどうすればいいと思う?」と考えると良いのではないでしょうか。「こんな野党だったら支持できる」という姿勢を持たないと、気づかぬうちに「与党しか支持できない」というような独裁的思想の一歩手前になります。次項でも書きますが、今回の国会で目立ったのは「与党への盲目的信仰」です。政治は流動的なものであり、同じ政党だから常に素晴らしいなんてことはないでしょう野党が悪いと思うなら野党を良くしていく働きかけをしていくのも有権者の役割かと思います。もちろん野党支持者も同様で与党が良くないと思ったら与党が良くなるような働きかけを行う必要があります。この場合の働きかけは単なる批判とは異なります。具体的行動で示すべきです。

例えば、私は与党を支持していませんが

①国会の場では不誠実でごまかすような答弁は行わない(自分の考えとしてどうこうではなく、他人にそう批判された時点で不誠実と捉え、改善を進めていく)

②何かの疑いがかかったり、国民から非難の声が上がったら、すぐ謝罪をする。

といった行動をしてくだされば支持すると思います。民主主義の実現のためには与野党の役割がしっかりと果たされる必要性があると感じます。現在の日本は事実上の独裁政治に近づいています。ですから、民主主義を望む有権者の方は「野党はクソ」ではなく、「野党の力も強めないと」という発想になる必要があります。ぜひ、ヒトラーがどのようにしてドイツで独裁政治を築いたかを学ぶと現在の日本の政治を考えるのにも役に立つと思います。独裁政治を主導したほうが悪いとしても、国民の力で独裁政治は止められるのです。

 

自分の支持する党を批判する

私が無党派層だからかもしれませんが、SNS上では自分の支持政党は絶対と考えている方が多く見られます。しかし普通に考えて、「安倍さんが問題ないって言ってるんだから問題ないよ」とか「立憲もパーティーを開いていたっていうけど自民の方が問題だろ」みたいな、自分の支持政党の批判を避けていることは(私の意見としては)健全ではありません。自浄作用が働いていないように思います。もし、自分の支持政党に対して問題意識を持つことができていないのであればそのままで結構です。しかし支持政党に対して疑問視することや批判的に思うことがあれば言うべきではないでしょうか。支持をしているから批判してはいけないというルールなどありません。むしろ逆であるべきだと思います。支持しているからこそ批判もする。こんな視点を持ってみてはいかがでしょうか。

「人はあるものに対してマイナスイメージを持っていると負の側面ばかりが見え、プラスイメージを持っていると正の側面ばかりが見えてくる」なんて話もありますが、指示しているからこそ批判的に見ようとしないと、負の側面が見えづらくなります。これは政治に限った話ではありませんが。絶対的に素晴らしい政党などありません。支持していようがいまいが、悪いと思ったら批判をするという姿勢づくりが必要だと思います。

 

(注意)

ここから先は安倍首相への批判的な内容が多く含まれますので読まれる方は十分ご注意ください。

疑わしきは…

「疑わしきは罰せず」という言葉があります。テレビの刑事ドラマなんかでもしばしば使われる言葉なのでまず知らない人はいないでしょう。しかしそれを国会に持ち込まれては困るというのが私の意見です。

モリカケ」こと森友・加計問題はかなり問題となっていました。それが事実なのだとしたら大問題ですから。「またモリカケかよ」という世論は大きかったんですが、実際「モリカケ」が大問題である以上(政治的に安倍退陣を求めるために使うのはどうかと思いましたが)安倍首相の説明を求めるのは当然のことであり、逆にあっさり追求をやめてしまえば、このようなことが日常的に起こる可能性が高まってしまうのだということを認識しておく必要があると思います。証拠さえ隠蔽してしまえば何をやってもOKという政治家ばかりになっては困ります。そのための国会での追及なのです。しかし、結局のところその追求も残念な結果に終わったと言わざるを得ません。これだけ疑わしいのに責任をとりませんでした。私は、国民に疑われるようなことをした人が平気で色々な法案を議論しているのはおかしいと思いますがいかがでしょうか。「私は断じてやっていない。しかし疑いが晴れないから辞任する」が普通ではないですか。今回は「私は断じてやっていない。疑わしい事実は出てくるし、文書は紛失したりしちゃったけど、断じてやってないから辞任しない」でした。あんなにも疑わしい人が政治をやっていることに平然としているこの状況に正直危機感を覚えます。

このあたりの論をより丁寧に展開されている方のブログをご紹介いたします。(いつも参考にさせて頂いています)「疑わしきは罰せず」は、権力者に対して用いる言葉ではない - 読む国会

この前の赤坂自民亭もそうですが「退陣レベル」の行為をしているのに退陣の気配すらないというのは、国民をなめているか、問題意識がものすごい欠如しているかどちらかなのでしょうね…残念でなりません。

 

法案名で騙している

www3.nhk.or.jp

一昨日の会見でも「働き方改革関連法」という言葉を使っていました。しかし「高プロ」だけはどうやって考えても「働かせ方」改革にしか思えません。まったくの別物なのです。改めて問題点を言うまでもないですが、過労死を助長する可能性が高い一方で、過労死認定を困難にしてしまう非常に危険な法案です。

その会見の中では「幼児教育」「高等教育」の無償化というこれまた聞こえの良い法案を成立させると意気込んでいましたが。この法案も毒がたっぷりだと感じているのでぜひやめていただきたいんですけど、聞こえがいいだけに不安感を煽らせきれず、通過してしまう可能性は高いと感じています。

この内閣はリスクとベネフィットを天秤にかけるということが下手だなとつくづく感じるんですが、しっかりとやっているのでしょうか。また姿勢として「とりあえずざっと審議をして、審議はしきれなくてもとりあえず成立。あとから国民の理解を得て問題点を解決すれば大丈夫でしょう」という雰囲気だが、それでいいのでしょうか。リスクの高すぎる法律もあります。とりあえず見かけ上は対策しているようにも見えますが、ぜんぜん対策になっていない例もあります。本当にそれでいいのか。国民は試されているような気がします。

まぁ、言い方悪いですけど、野党の追及に対してしっかりとした受け答えが出来ないのも、法案に問題点があることを認識しつつそれを無視しようとしていることの表れなのかもしれないなと思いますね。まぁ安倍さんは他の方に比べて日本語力に問題があると思う部分もありますが…おっとこれは誹謗中傷でした。失礼いたしました。

 

とこんな感じで雑文となってしまいました。

思うことは山ほどあるんですけど、生産性のない発言もたまにはしておかないとなと思いました。次の総裁選で安倍さんにならないことを願いたいものの…

もう少しまともな国会運営になることを願って、力などありませんが発信を続けていきたいと思います。

【読書記録】『勉強の技術』 著:児玉光雄

今回読んだ本はこちら。

著者について

児玉光雄先生はスポーツ心理学者であり、本人のTwitterアカウントから引用すると「スポーツ天才学」の研究者。

良かった点

・イラストを多用しており(好き嫌いは分かれるかもしれないが)理解しやすい。文章も非常に読みやすい平易な文だという印象。

・あまり難解な話はなく、広く浅く様々な”勉強の技術”が書かれている。

教育心理学認知心理学あたりの分野で研究されてきた内容よりも、スポーツ心理学で研究されてきた知見を勉強に応用しようという内容が多かったため、違った角度からの内容も豊富で個人的にはそこそこ楽しめた。

悪かった点

・第7章、第8章の「動機づけ」「記憶」に関する知見などを中心に、明らかな誤りや意味の分からない記述がいくつも見受けられたので少々残念だった。

ex.) プライミング記憶について

「山道を歩いているとき、突然草むらからヘビが飛び出してきたら、あなたは『キャー』と悲鳴を上げて逃げ出すかもしれませんが、この行動を取らせるのがプライミング記憶です。」(p.151)

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ライミング記憶とは、先行して取り入れた情報(あるいは記憶)等によって後続の情報の処理に無意識的に影響を与えることである。しかし、この例は明らかにプライム(先行刺激)とターゲット(後続刺激)という2種類の刺激がないのでプライミングではないと思う。無意識的という点しか共通点がない。

・”科学的学習”と銘打っている割には、科学的根拠の乏しい「主観的な」ものがいくつも見受けられた。真偽が疑わしいものも多かった。

総評

ミスが何か所も見られ、根拠の弱い主観的な論も多く含まれていたため、学術的な信頼性は高くない。特に著者の専門外の知見については(致命的ではないものも多いが)誤りが複数みられるので十分注意が必要である。

勉強以外の日常場面でも使っていけそうな技術がたくさん紹介されていた。一般書の読み物としては悪くないと思う。

熱中症と部活動(2)

前回のブログはこちらから→熱中症と部活動(1) - 考える葦になりたい大学生のブログ

 

熱中症問題。今年は特に激化しているように思われるがそれもそのはず。こちらのリンク先を見ていただきたい。→http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/H30_heatillness_report_11.pdf

環境省が発表しているWBGT値(後述)と熱中症救急搬送者数の7/9~7/15分のデータである。死者数は1週間で12名、搬送者数も1日で2000人を超えているという。更には

14 日には 31℃と一年を通じて暑さ指数(WBGT)が最も高い時期の平均値を 1℃程度上回る状況

というように例年並みどころの暑さではないことを物語っている。

こちらの記事でも例年通りではないことがはっきり述べられている。

www.asahi.com

 

さて、前置きはこの辺にしておいて、今回のブログでは熱中症死者数についての統計データを確認して、部活動問題に少しずつ踏み込んでいきたい。

 

熱中症死者について 

まずは熱中症で亡くなられた方についてのデータを確認してみる。データについては厚生労働省の人口動態統計と、総務省消防庁の統計がある。

前者についてはこちらのサイトにまとめられている。熱中症による死亡者の動向をグラフ化してみる(人口動態調査版)(最新) - ガベージニュース

後者については、次のリンク先を参照。→https://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2_1.html

 

熱中症での死者数は毎年約50~100人と読み取れる。近年の傾向としては高齢者の死者数が増加している一方で、20歳未満の死者数は減少傾向にあり、ほとんどいないと読み取れる。(少子高齢化などによって母数が変化しているため注意は必要。)

さらに暑さ指数として公表されているWBGT(湿球黒球温度)と熱中症救急搬送人数のデータを比較すると、WBGT最高値と搬送人数は大体並行して変動しており、正の相関があると考えられる。

WBGTが28度を超えると死者数が増え始め、30~31度を超えると死者数は急激に増加するというデータもある(※1)。若者の死者数は少ないとはいえ、WBGTを基準にして適切な対応を取らなければ、死に至らなくても重症化する危険は高いと予想されるだろう。

WBGTが31度を超え「運動は原則禁止」「外出はなるべく避ける」という状況下において屋外活動をすることは非常に危険である。

 

(※1)環境省熱中症環境保健マニュアル 2018』9頁http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_1-4.pdf

 

★以下のサイトも参照のこと

・環境省熱中症予防情報サイト

・熱中症についてまとめてみる…2)各種データのグラフ化 - ガベージニュース

 

体育活動における熱中症

続いては、学校現場に限定して熱中症死亡事故のデータを確認してみる。今回は独立行政法人日本スポーツ振興センター学校災害防止調査研究委員会による平成26年3月の報告書を基に「体育活動」についての事例を見ていく。

 

★ダウンロードはこちらから→体育活動における熱中症予防 調査研究報告書

 

第2編「学校の管理下の熱中症の発生傾向」を読んでいく。やはり先ほど紹介したデータと同様で、近年は死亡事故が減少傾向にあるという(8頁)。過去のデータを分析すると、体育活動のほとんどが運動部活動であることがわかる(12頁)。種目によって重症化しやすい学年が異なることも読み取れる(13頁)。すなわち、種目の特性を理解した上で、それぞれに合った形での熱中症対策が求められるだろう。尚、公式試合での死亡事故はないが、練習試合では起こっていることもわかる(13頁)。部活動の練習中に限らず、試合においても注意が必要であることは間違いない。

また、暑い中で無理に運動したところで、トレーニングの質は低下し、効果は上がらないということも指摘されており、このあたりは指導者の資質が問われる。

更に『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(スポーツ庁)の16頁、17頁においても

指導者は、生徒はまだ自分の限界、心身への影響等について十分な知識や技能をもっていないことを前提として、計画的な活動により、各生徒の発達の段階、体力、習得状況等を把握し、無理のない練習となるよう留意するとともに、生徒の体調等の確認、関係の施設、設備、用具等の定期的な安全確認、事故が起こった場合の対処の仕方の確認、医療関係者等への連絡体制の整備に留意することが必要です。

とされており、部活動中の熱中症については、指導者が責任を持つことがはっきりと明記されている。前回の記事で見たような”熱中症になった子どもが悪い”という意見はこういった理由からもありえないのである。

 

★参考資料

・熱中症を予防しよう-啓発資料

 

そんな中でスポーツ庁は部活動の熱中症対策の明文化に乗り出したそうだ。
mainichi.jp

 

熱中症になるのは運動部だけ?

www3.nhk.or.jp

熱中症になるのはなにも運動部に限った話ではない。例えばこの事例のように野球部の応援に来ていた吹奏楽部員が熱中症になるケースもある。この場合、熱中症になった生徒はただの観客ではない。部活動の中での事故である以上、吹奏楽部としても熱中症の対策を講じる必要があるだろう。

吹奏楽部についてはこんなニュースもあった。名門校である埼玉栄中学・高校での一件である。マーチングの危険性は特に見落とされがちである。

www.sankei.com

そして。

現在では多少改善されたと願いたい。

屋外に限らず、屋内での熱中症にも当然注意が必要である。特にエアコンのない環境においては屋内の活動もかえって危険な場合がある。また、エアコンのある空間であっても脱水等を引き起こすケースは十分に考えられるのだ。

 

高校野球を再考する

ここで高校野球の話題を再考したい。

blogos.com

しばしば提言されている対策の一つは、このような「時間をずらす」ことである。特に「ナイター化」してしまうのは有力な案ではある。もちろんナイターでやるには様々な問題があることは承知の上だが、それでも昼の最も暑い時間にやるのは非常に危険性が高いだろう。

この状況に高野連朝日新聞熱中症への注意を呼びかけている。

www.asahi.com

工夫の見られる地方大会もある。

mainichi.jp

大会日程や試合時間の調整、休息や給水の調整、更にはうちわ、扇風機、テント、帽子などの使用や、学ラン禁止といった対策がずらっと並んでいる。さらに福井県ではミストシャワーの設置という少し変わったものも導入されるそうだ。

www.fukuishimbun.co.jp

しかし。このような対策だけで完全に熱中症を防げるわけではなく、その結果どうしてもやりきれない問題が生じる。それは熱中症になりかけても無理をしたがる生徒をどうするかという問題である。

www.sponichi.co.jp

記事では、今にも倒れそうになりながら、足をつりながら、必死に戦った選手のことが書かれている。本来であれば交代させるべきだろうが、”本人の意思”でやらせていたのだろう。ここに部活動の熱中症問題の難しさがあると感じる。生徒が無理をしたくて無理してしまうのだ。指導者はこの状況で強く止められるだろうか。多くの指導者がきっと無理だろう。共感してしまうからである。ここに理想と現実との乖離が存在する。

何が言いたいかといえば、個別の指導者に「生徒を無理させないでください」とお願いするだけでは限界があるということだ。子どもが納得がいきつつ、安全な形をもっと上が模索しなければならないだろう。

 

おわりに。

今年の夏は例年と違う。静岡県高野連メディカルサポート部の熱中症処置件数の例を見れば衝撃的な値である。

www.at-s.com

 

かつては

甲子園のような『(試合の)大会』では、熱中症は起きにくいと考えられているんです。野球で注意すべきなのは、むしろ練習時ですね。

と言われていた時代もあった。だが今は違う。大会だから大丈夫とは言えない時代となってしまった。100回の甲子園はある意味で節目の甲子園となるのかもしれない。甲子園改革をやるには今しかない。

www.news-postseven.com

 

★参考リンク→熱中症を防ごう - JSPO

 

本日はこのあたりで。

熱中症と部活動(1)

痛ましい事件が起こった。

www3.nhk.or.jp

小学校1年生の尊い命。絶対に防げることだったと思えるだけに悔しさが募る。

 

以下の記事では専門家によるコメントがある。

「やめる勇気」が今年の夏は例年以上に求められるのではないかと思う。
headlines.yahoo.co.jp

 

先ほどの記事の中では「エアコンのある教室」とあるが、これについては以下の記事を見てほしい。「エアコンのない教室」がたくさんあることも問題なのである。
news.yahoo.co.jp

 

ちなみに、教室へのエアコンの設置について予算の問題だけでなく地球温暖化が進むから反対という意見がみられる。もちろんエアコンは電気を要するため温暖化と無関係とはいえない。

しかし、私としては以下のツイートの意見に同感で「現在の健康快適と将来の地球環境は両方大事」だと思う。つまり、温暖化するから無理な我慢をするというのはナンセンスだと考えている。特に、大人が我慢をせずに子どもに我慢をさせるというのはおかしいのではないか。(もちろん全教室にエアコンを導入した上での使い方も考える必要はあるが……)

 

★参考記事
nlab.itmedia.co.jp

 

追記

もう日本の夏にエアコンは必須であるというのはこちらの記事が詳しい。

 

野球大会での熱中症

前置きが長くなってしまった。今回のトピックは「部活動と熱中症」の問題である。まずはこちらの記事を見ておきたい。


www.nikkansports.com

突っ込みどころ満載の記事なので少々お付き合いいただきたい。

筒井一成監督(41)は「試合で倒れるなんて初めてです。何をやっているのか」とあきれ顔だった。

筒井監督。申し訳ないがあなたの発言にあきれ顔です。 

川越西の主将、野村真吾外野手(3年)は「水分と塩分の対策からやり直しです」と猛省した。

水分と塩分の対策についてはしっかりやるべきだが、学生が猛省することではないのでは。

埼玉県高野連・高間薫専務理事(58)は「ちょうど期末試験が終わり、体が慣れていないんじゃないかな。対策を考えないと。毎日これでは困る」と話した。

熱中症対策を考えるべきなのはその通り。しかし「体が慣れていない」という生徒のせいにしている。違う。対策を怠っている大人が悪い。そもそも、38.3度なんて環境で今まで通りの運営で熱中症が出ないとでも思っているのか。 再びのあきれ顔である。

 

この記事で見えてくるのは「熱中症になったことが悪い」という考え方。安全対策は誰がやるべきことなのか。子どもではなく大人であるべきではないだろうか。

 

根幹となる考えだけ先に提示しておくが

安全が確保されて、はじめて部活動(大会)ができる

ということを認識するべきである。

どうして安全対策が不十分なまま何事もなく強行しているのか。それでいて熱中症になったら生徒のせい。まるで「過労死したら社員のせい」というブラック企業と変わらないではないか。この異常さにどうしてこの記事は言及しないのか疑問である。

 

熱中症が問題となっている自治体はまだまだたくさんある。そんな中でこのような取り組みがみられたという。
headlines.yahoo.co.jp

こういう対策をしてはじめて実施していいものなのである。私の感覚としてはこれが「当たり前」であるが…このような取り組みが全国に普及しておくことを望んでいる。

よく記事を見てほしい。「1日約20人が救護室に運ばれている」のである。単純な掛け算でも全国で1日900人以上であり、1週間で6000人を超える。このまま放置していい事態ではないことはお分かりいただけると思う。

 

今年の甲子園は第100回という記念すべき大会である。まさかそんな大事な大会で死者を出すわけにはいかないだろう。死者は出なくても、熱中症で体調不良になったり足をつったりといった選手が続出してしまっては悲しいと思う。

 

今年の甲子園を、”安全”ないい大会にする

そのために、この状況をこのまま看過するのではなく、対策をしっかりと考えていくことが求められていると思う。

野球が「選手も観客も暑い中で頑張る」ものという固定観念からは抜け出して、選手にとっても観客にとっても少しでも”安全な”大会になることを強く望む。

具体的な提言ができないことが非常にもどかしいのだが、何かアイデアを思いついたら書き記していきたいと思う。

 

というわけで(1)はこのあたりにして、(2)に続く。この後は、”熱中症”と”部活動”について、公表されているデータを基に深く考察し、熱中症対策についても書いていこうと思う。